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塗料の耐久年数がわかる?促進耐候性試験とは

最近、この塗料何年保つの?とよく聞かれます。

その際にお客様がご自身で判断できるものがあります。それは「促進耐候性試験」と呼ばれるものです。

今後、促進耐候性試験をより理解できるようになるためにも、以下の点を覚えておくといいでしょう。

・促進耐候性試験とは、塗料の耐候性を調べる試験のこと
・室内で行う試験なので、実際に屋外で試験した結果ではない
・試験結果はJIS A6909耐候形の1種、2種、3種に分類される

このページでは、促進耐候性試験の種類や見方、グレード別の期待耐用年数などについて説明いたします。

促進耐候性試験とは

促進耐候性試験とは、塗料に人工的に作られた光を当てて屋外の環境を再現し、劣化の進行具合を調べる試験のことです。

実際に数年かけて経過を観察するのではなく、3000時間の間にわざと劣化を進行させて、塗料がどのような状態になるのかを見ます。現在よく行われているキセノンランプ促進耐候性試の場合は、300時間で屋外1年として計算します。

本来は、屋外暴露で実際の年月の経過を見るのが一番だと言われていますが、塗料メーカーではこのような促進耐候性試験を行っています。

促進耐候性試験の方法

促進耐候性試験の方法は主に2つあり、以前は「サンシャインウェザーメーター促進耐候性試験」が用いられていましたが、現在はJIS A6909促進耐候性試験に相当する「キセノンランプ促進耐候性試験」という方法が一般的です。

屋外暴露に近い劣化の状況になる促進耐候性試験が、キセノンランプ促進耐候性試験だと言われております。

カタログ表記では略語がありますので、

キセノンランプ促進耐候性試験=XWOM
サンシャインウェザーメーター促進耐候性試験=SWOM

これで見極めることができます。

ただし最近では、無機系の塗料も市場に多く出回っており促進耐候性試験の時間が非常にかかるため、「メタルハライド式の促進耐候性試験」通称メタハラ、もしくは岩崎電気のスーパーUVを行うケースもあります。

これらの試験の場合は、おおまかに40時間〜100時間で屋外1年と考えられることが多いです。

JIS A6909耐候形の種類

キセノンランプ促進耐候性試験は、その結果によってJIS A6909耐候形1種、2種、3種に分類されます。その種類を見て行きましょう。

ちなみに、サンシャインウェザーメーター促進耐候性試験では、耐候形1種は3000時間、2種は2000時間、3種は1000時間となっています。

耐候形1種

耐候形1種は、キセノンランプ促進耐候性試験で2500時間経過後、光沢保持率が80%以上あることが条件となります。

主にシリコン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料です。

【塗料例】
水性シリコンセラ、パーフェクトトップ、ファイン4Fセラミック、水性セラミシリコン、プレミアムシリコン、クリーンマイルドフッソ、パーマールシリコン、セラコートアクア、ナチュラルフッソなど

耐候形2種

耐候形2種は、キセノンランプ促進耐候性試験で1200時間経過後、光沢保持率が80%以上あることが条件となります。

主にウレタン樹脂系塗料です。

【塗料例】
オーデフレッシュU100Ⅱ、水性コンポウレタン、パーマールウレタンなど

耐候形3種

耐候形3種は、キセノンランプ促進耐候性試験で600時間経過後、光沢保持率が80%以上あることが条件となります。

主にアクリル樹脂系塗料です。

【塗料例】
タイルラック水性つや一番、プリーズコート、着色仕上材Eなど

促進耐候性試験(キセノンランプ)のグラフの見方

塗料のカタログに載っていることが多いので、実際に見ていきましょう。

以下は、日本ペイントが販売しているパーフェクトトップの促進耐候性試験(キセノンランプ)のグラフです。

この結果から、促進耐候性試験2500時間(屋外で8年相当)経過後、光沢保持率が80%ということがわかります。

また、キセノンランプで300時間は1年相当なので、この場合は11年~14年程度、塗料が持つと考えていいかと思います。

ただし、塩害部や紫外線がよく当たる所については違う結果になります。塩害が多い地域では、キセノンランプ450時間で1年相当です。

期待耐用年数って実際どれくらい?

期待耐用年数とは

一般的に塗装の目的は、美装(美観)と保護と考えおります。

塗膜は、劣化因子である紫外線や熱、風雨などの影響により段階的に機能が低下していきます。

まずは汚れや艶の低下、変退色から始まり、チョーキングや軽微な塗膜の割れなどが起こります。この時点では塗装の目的の美装(美観)は損なわれますが、保護の観点すると下地保護機能はあります。

その後、塗膜の重大な割れや剥離などが起こり、初めて下地保護機能が失われます。ここの境目が期待耐用年数と定義します。

また、気象条件の厳しい地域や天端、斜壁などの部位、蓄熱性の高いボードなどの場合、早期の劣化が予測されるので期待耐用年数が短くなります。

グレード別の期待耐用年数

ここからは、よくお客様も目にすると思いますが、以上を踏まえてグレード別の期待耐用年数を見ていきましょう。

■アクリル樹脂系塗料
耐候性3種
キセノンランプ促進耐候性試験上は約2年ですが、期待耐用年数は約4~5年相当

【塗料例】
タイルラック水性つや一番、プリーズコート、着色仕上材Eなど

■ウレタン樹脂系塗料
耐候性2種
キセノンランプ促進耐候性試験上は約4年ですが、期待耐用年数は約6~8年相当

【塗料例】
オーデフレッシュU100Ⅱ、水性コンポウレタン、パーマールウレタンなど

■シリコン樹脂系塗料
耐候性1種
キセノンランプ促進耐候性試験上は約8年ですが、期待耐用年数は約10~13年相当

【塗料例】
水性シリコンセラ、水性セラミシリコン、パーマールシリコンなど

■フッソ樹脂系塗料
耐候性1種
キセノンランプ促進耐候性試験上は約13年ですが、期待耐用年数は約15~20年相当

【塗料例】
水性シリコンセラ、ファイン4Fセラミック、クリーンマイルドフッソ、ナチュラルフッソなど

まとめ

促進耐候性試験とは、人工的に塗料を劣化させて経過を観察し、その結果からどのくらいの期間、光沢を保つことができるのかを調べる試験のことです。

試験方法はいくつかありますが、現在は一般的に「キセノンランプ促進耐候性試験」と呼ばれる方法を用いります。

試験の結果は塗料のカタログに掲載されていることが多いので、お客様自身でもその内容を確認できます。実際に外で試験したものではありませんが、おおよその耐用年数を知ることが可能です。

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