塗料は、主成分である合成樹脂の種類によっていくつかのグレードに分類されます。そのグレードの中で、現在主流になっているのがシリコン塗料です。
実際に多くの住宅で採用されているシリコン塗料ですが、どのような特徴がある塗料なのか分からないという方も少なくありません。
そのため、このページでは、シリコン塗料の特徴や費用などについて詳しく説明いたしますので、ぜひ塗料選びの参考にしてください。
目 次
シリコン塗料はどんな塗料なのか?
シリコン塗料塗料とは、シリコン系の合成樹脂を主成分とした塗料のことです。
塗料の中にアクリル樹脂も含まれているため、正確には「アクリルシリコン塗料」となりますが、省略してシリコン塗料と呼ばれています。
シリコン塗料は、他のグレードの塗料に比べて、価格と耐久性のバランスが良くコストパフォーマンスに優れているため、塗り替えでは約7割もの戸建住宅で採用されています。
ただし、主流はシリコン塗料から1つグレードの高いラジカル塗料に移行しつつあります。
シリコン塗料のメリット
価格と耐久年数のバランスが良い
シリコン塗料は、他のグレードの塗料に比べて、価格を抑えつつも耐用年数が10〜15年程と耐久性にも優れた塗料です。
耐用年数が長いことで、次の塗り替えまでのサイクルが長くなるため、一昔前に流行ったアクリル塗料やウレタン塗料に比べて、長期的なメンテナンスコストを抑えることができます。
実績がある
実はシリコン塗料の歴史は古く、日本では東京芝浦電気(東芝)が1941年(昭和16年)に研究に着手し、1953年(昭和28年)に一般用として発売されています。
シリコン塗料は、多くの戸建住宅で採用されているため施工実績が多く、販売されてから10年以上経過しているため、耐久性に関して信頼性も高いと言えます。
光沢保持率が高く汚れにくい
艶ありタイプのシリコン塗料は、光沢保持率が比較的高く、長期間艶を維持し綺麗な塗膜を保つことができます。
また、塗膜が固く撥水性や低電圧性があるので、雨水に含まれた汚れやホコリを弾き、塗膜に定着させにくいという特徴があります。
シリコン塗料のデメリット
ひび割れしやすい
シリコン塗料は、塗装をしてから10年程度経つと塗膜が固くなる傾向があり、固くなった塗膜に地震などで力が加わった場合には、動きに追従できずひび割れが起る可能性があります。
モルタル外壁などひび割れが起こりやすい環境では、弾性系のシリコン塗料での塗装をおすすめします。
ただし、建材と塗料の組合せには、専門的な知識や経験が必要となりますので、塗り替えの際には信頼できる業者に相談して塗料を選定するようにしましょう。
重ね塗りする際は注意が必要
シリコン塗料には高い撥水性があるので、塗り替えの際にはシリコン塗料と相性の良い下塗り材を使う必要があります。
この特性を理解せずに施工してしまうと、新たな塗膜が旧塗膜に密着できず、塗膜の剥がれなどの施工不良に繋がる恐れがあります。
DIYには不向き
シリコン塗料は、粘度が低い塗料なため、着色のために配合されている顔料が沈殿しやすいという特徴があります。
そのため、塗装の際には頻繁に撹拌する必要があり手間がかかります。また、上記で説明したように重ね塗りをする際には下塗材に注意する必要があるため、DIYには不向きな塗料と言えるでしょう。
シリコン塗料の施工単価(m2)はいくらくらいか?
シリコン塗料の施工単価は、1平米あたり2,300〜3,000円程度です。その他のグレードの塗料との施工単価の相場と耐用年数の違いは以下の通りです。
塗料の種類
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施工単価(/㎡)
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耐用年数
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アクリル塗料
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1,400~1,600円
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5~7年
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ウレタン塗料
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1,700~2,200円
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8~10年
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シリコン塗料
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2,300~3,000円
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10~15年
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ラジカル制御型塗料
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2,500~3,000円
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12~15年
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フッ素塗料
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3,800~4,800円
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15~20年
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無機塗料
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4,500~5,500円
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20~25年
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こんな方にオススメする塗料です
シリコン塗料は、費用と耐用年数のバランスが良く施工実績も豊富な塗料なので、10年周期で塗り替えを検討している方や信頼性を高い塗料を選びたいという方にはおすすめの塗料です。
シリコン塗料を選ぶ際の注意点
製品の品質には要注意!
シリコン塗料は、販売されている商品の種類が多いので、商品によって品質の差が大きいという点に注意しなければなりません。
品質の判断材料として重要なのが、主成分であるシリコンの含有量です。
シリコンの含有量が20%以下の低品質の商品から、品質の高いもので45%〜65%程度と大きく差がありますが、シリコンの含有量が多いほど、塗膜の耐久性や弾力性は高くなる傾向があります。
反対に、シリコンの含有量が少ない場合には、塗膜の耐久性や伸縮性が低下するため、ひび割れや剥がれなどの不具合が起りやすくなってしまいます。
ただ、シリコンの含有量はメーカーのカタログやホームページなどには記載されていないことが多いため、大手会社のシリコン塗料をご検討の方は、直接メーカー窓口に確認してみると良いでしょう。
シリコン塗料の保証の長さに注意!
外壁塗装では、塗料メーカーによる保証の他に、外壁塗装会社独自の自社保証が付く場合がほとんどですが、シリコン塗料で自社保証10年を謳っている場合には注意が必要です。
メーカーから発表されているシリコン塗料の耐用年数は10〜15年ですが、これはあくまでも期待耐用年数で、周囲の環境や建物の状態によって耐久性は異なります。
仮に10年の保証を付けて、9年目に保証での塗り替えが必要となった場合には、業者は利益が出ないどころか赤字で対応することになり、遅かれ早かれ経営が立ちいかなくなってしまうでしょう。
それでは、なぜシリコン塗料で10年の保証を付ける業者が存在するのでしょうか?その理由としては、以下の2ケースが考えられます。
■色あせなどの自然劣化は保証外
見積もりの段階で対象範囲をきちんと説明している場合は問題ありませんが、保証期間内であれば何でも保証しますなどという業者の場合は注意が必要です。
■計画倒産する
地元で10年以上運営しているような業者であれば、このような心配はあまりありませんが、会社の設立が10年未満と浅い業者の場合には注意が必要です。
その業者が瑕疵保険などに加入していない場合、保証の内容がどんなに手厚かったとしても、業者が倒産してしまっては何の保証も受けられません。
代表的なシリコン塗料
オーデフレッシュSi100Ⅲ(日本ペイント)
施工単価:2,800円~3,300円/m2
水性塗料のため、油性塗料に比べて臭いが少なく周囲への影響も少なく、オーデリウォールシステムという独自技術により、高耐候性や低汚染性を兼ね備えた塗料です。
ただし、金属面には塗装することはできません。
クリーンマイルドシリコン(エスケー化研)
施工単価:2,500~3,000円/m2
弱溶剤塗料のため、優れた密着性によって金属など幅広い素材に使用することができます。また、セラミック複合技術により、低帯電性や低汚染性、超耐久性能を兼ね備えた塗料です。
セラMシリコンⅢ(関西ペイント)
施工単価:2,300~3,000円/m2
セラミック変性樹脂を採用したことによって、親水性が高く、優れた低汚染性や耐候性を発揮します。また、防カビ・防藻性も兼ね備えた塗料です。
耐候性が高く紫外線の影響を抑えられるので、長期間汚れや色褪せの少ない綺麗な状態を保つことができます。
超低汚染リファイン1000Si-IR(アステックペイント)
施工単価:2,400~3,000円/m2
汚れにくさに特価した塗料で、無機成分が配合されたことで、緻密で強靭な塗膜を形成し、細かな汚染物質さえも塗膜内部に侵入するのを防ぎます。
さらに、無機成分の持つ親水性によって、雨水が塗膜に付着した汚れの間に入り込み、汚れを洗い流します。その他、耐候性や遮熱性も兼ね備えた塗料です。
GAINA(株式会社日進産業)
施工単価:3,800~4,500円/m2
塗料に配合された特殊セラミックビーズが多重の断熱層を形成することで、高い断熱や遮熱効果を発揮します。
また、特殊セラミックビーズが密集することで、音の振動を分散させ、自動車のエンジン音や人の話し声など、外部からの騒音を軽減する効果も期待できます。
まとめ
今回はシリコン塗料について、お話させていただきました。
シリコン塗料は、価格と耐久性のバランスが良くコストパフォーマンスに優れているため、外壁塗装では現在最もシェアを占めている塗料です。
近年では、ラジカル制御型塗料に主流が移行しつつありますが、シリコン塗料は、施工実績が豊富で、販売されてから10年以上経過している塗料です。
そのため、耐久性などの信頼性の高さも選ばれるポイントの1つと言えるでしょう。
ただし、シリコン塗料と一口に言っても、様々な商品が販売されており、商品によって品質の差が大きいので塗料選びの際には注意が必要です。
外壁塗装でお悩みの方は、ぜひ金丸塗装までお気軽にご相談ください!