外壁塗装をする際は、外壁材の種類や劣化具合を判断し、状況に応じた工事や塗料選びをすることが大切です。
工事内容や塗料選びが不適切だと、塗料がすぐに剥がれたり、雨漏りに繋がる場合もあります。
ALCパワーボードのメンテナンスで注意すべきポイントは以下の通りです。
・新築時に目止めを怠っていると、塗り替え時に置換発泡と呼ばれる現象が起きる恐れがある
・新築時の仕様によってメンテナンス方法も変わる
・防水性や弾性が高い塗料は、塗膜の膨れやALCの劣化を引き起こす可能性があるので注意
・シーリング補修は打ち替えが望ましい
・専用のALC補修材を使用することが大切
このページでは、ALCパワーボードの特徴や塗装する際の注意点などについて説明いたします。
目 次
ALCパワーボードとは
ALCとは、軽量気泡コンクリートのことです。
一般的に厚みが75mm以上が「ALC」、75mm未満が「パワーボード」と呼ばれています。
また、その厚みの違いから、補強の違いもあります。ALCはRCのように鉄筋が入り、パワーボードはモルタルのようにラスが使用されています。
ALCの基本性能は、軽量、断熱、不燃、耐火といった特徴を持ったものです。しかしその反面、表面の強度が弱く、欠けやすかったり、吸水性が高かったりします。
また、ALC自体に防水性がないため、表面を防水処理する必要があります。版間のシーリングも重要になります。新築時はもちろん、塗り替えにも注意が必要です。
ALCパワーボードの新築時の仕様
なぜ塗り替えの注意点なのに、新築時の仕様?と思いになられたと思いますが、塗り替え時の注意点は、新築時の仕様または新築工事に携わっていないと、様々な判断ができないからです。
そのため、新築時の塗装も塗り替えもすべてを経験されている業者が、本当に塗装のことをわかっている業者と言えます。塗り替えの外壁塗装の経験しかない業者は要注意です。
少し話が脱線しましたが、まずALCの新築時の塗装では、先ほどあげたALCのデメリット「表面の強度が弱い」「欠けやすい」「吸水性が高かい」を下地処理でカバーしていきます。
特に、樹脂系のALC用のフィラーで目止めをする作業が、一番大切な処理です。(シーラー、セメント系フィラー)
新築時に目止めを怠っていると、塗り替え時に置換発泡と呼ばれる現象が起きる場合があります。正直な所、目止めをきちんと行っているかどうかは、10年後の塗り替えではわからないことが多いです。
下地処理を行った後は、吹付けリシンや吹付けタイルを施工している新築がほとんどです。
ALCパワーボードの塗り替えの注意点!
新築時の塗装仕様の確認が大事
まずは、新築時の塗装仕様の確認が大事となります。また、シーリングの劣化も、雨漏りに直結する場合がありますので要注意です。
重量鉄骨ALC造の場合:2次防水という概念がなく、塗装とシーリングに防水を頼っている。
木造ALC造(通気、直張り)の場合:2次防水はあるが厚みが薄く、窯業サイディングに近い蓄熱性を持っているため、塗膜の膨れも注意しないといけない。
上記のように新築時の仕様によって、特徴や注意点が異なります。
防水性や弾性が高い塗料を使用する時は注意が必要
防水性の高い塗料を選定する方が多いですが、ALC協会さんの技術資料には、こんな記述があります。
「防水型複層塗材E,CE,RE(弾性タイルなど…)…透湿性が比較的低いので、下地の調整、乾燥に注意が必要」
要は、あまりにも防水性を高めると透湿性が低くなるため、塗膜膨れなどが起きやすくなるということです。
さらに、防水性が高い塗料を使用すると、ALCと塗膜との界面に水がこもりやすく、それ自体がALCそのものを劣化させることがあります。
また、ALCに微弾性フィラーを用いることも多いですが、パワーボードの厚みになってくると、実はあとで塗膜の膨れが起きることがあります。
日本ペイントさんのカタログには、以下のように記載されています。
「塗り替え、窯業系サイディングボード、ALCパネル面には、ニッペパーフェクトサーフが標準施工になっております。」
最近では、透湿性のかなり高い微弾性フィラーが発売されています。ダイフレックスさんのダイヤセラ・トーシツプラスです。もし、パワーボード面で微弾性フィラーを使うならこれしかありません。
シーリングは打ち替えがオススメ
シーリングの増し打ち、打ち替えでよく相談されることがあります。
基本的には、打ち替えが望ましいです。
ALC自体が非常に脆くなっている場合は、目地部分に打ちしろがあればが増し打ち、なければ打ち替えになるケースが主になります。
打ち替えの場合は、ALCの欠損も見積りに計上しないと行けないので、かなり割高に感じることもあると思います。
使用するシーリング材は、ウレタンシーリングや変成シリコンシーリングが主流です。昔は目地部分にはアクリルシーリングがメインでした。
個人的には、ブリード面や柔軟性(低モジュラス)の観点から、ウレタンシーリングがいいと思っております。
専用のALC補修材を使うことが重要
ALCは軽石みたいなものなので、断面補修や欠損補修には、専用のALC補修材を使うことが重要です。
硬くて高収縮なモルタルなどを使用すると、ALCとの相性が悪く、ひび割れなどが起きやすくなります。
補修材一つとっても、ALCなのか、RCなのかによって補修方法は変わってきます。
それぞれの特性をよく理解し、特に塗り替えをメインしている業者は少ないと感じます。
まとめ
・新築時の塗装仕様の確認が大事
・防水性や弾性が高い塗料を使用する時は注意が必要
・シーリングは打ち替えがオススメ
・専用のALC補修材を使うことが重要
ALCの塗装を行う際は、上記のような点に注意しましょう。
新築時の状況がわからない、塗料選びで悩んでいるという方は、ぜひ弊社までご相談ください。