
外壁塗装の浮き・剥がれは、経年劣化や施工不良などが原因で発生します。これらの症状を放っておくと、建物全体に大きな影響を及ぼす恐れがあるため、適切な方法でメンテナンスすることが重要となります。
今回は、外壁塗装の浮き・剥がれの原因や放置する危険性、補修方法や費用相場などを詳しく解説します。
お客様ご自身でも対処法をしっかりと理解し、建物の美観や耐久性を維持できるように心がけましょう。
外壁塗装の浮き・剥がれとは
外壁塗装の浮き・剥がれとは、塗膜が外壁材にしっかりと密着せずに浮き上がったり、剥がれて下地が露出してしまっている状態のことを指します。
塗膜には建材を保護する役割があるため、浮きや剥がれが発生すると塗膜による保護機能が低下し、美観が損なわれるだけでなく、外壁材の劣化進行にも繋がってしまいます。
外壁材の劣化は、雨漏りの発生や躯体の腐食にも発展する恐れがあるため、早急な対処が必要です。
経年劣化による浮き・剥がれの原因
外壁塗装は、紫外線や雨風などの影響を常に受けており、年月の経過とともにひび割れや浮き、剥がれなどの劣化症状がみられるようになります。
また、外壁内部に生じた湿気や劣化進行による雨漏りなどによって塗膜が膨れ、浮きや剥がれに繋がるケースもあります。
経年劣化による外壁塗装の浮き・剥がれは逃れられないものなので、状況が悪化する前に塗り替えや修理を実施し、定期的なメンテナンスで耐久性や美観を維持していくことが大切です。
施工不良による浮き・剥がれの原因
施工不良による浮き・剥がれの原因として、以下のようなパターンが挙げられます。
塗装後、1年~3年程で不具合が発生した場合は施工不良が疑われますので、施工した業者に状況を確認してもらうようにしましょう。
高圧洗浄が不十分だった
通常は外壁塗装を行う前に、高圧洗浄機を使用して塗装面の汚れ、コケ、古い塗膜、チョーキングの粉などを洗い流します。
しかし、高圧洗浄をしっかりと行わずに汚れなどが残ったまま塗装をしてしまうと、塗膜が下地に密着せずに浮きや剥がれを引き起こします。
また、高圧洗浄後の乾燥が不十分だった場合も、塗膜内部に水分が残ってしまい、その水分が原因で塗膜が膨れて浮きや剥がれに発展してしまいます。
下地処理が不十分だった
下地処理とは、ひび割れの補修やサビを除去する「ケレン」など、下地を塗装ができる状態に整える作業のことを言います。
下地処理が不十分だと、すぐにひび割れやサビなどが再発したり、塗料の密着力が低下して浮き・剥がれに繋がってしまいます。
また、ケレン作業に含まれる「目粗し」という工程も下地処理を行ううえで重要なポイントです。
目粗しとは、ツルツルした面に紙ヤスリなどであえて細かい傷を付けて、塗料の密着力を高める作業のことを指します。目粗しが必要な箇所でこの作業を行わないと、塗料が密着せずに早期の剥がれに発展します。
下塗りが不十分だった
外壁の塗装工程は、下塗り→中塗り→上塗りの3回塗りが基本です。下塗りには、塗装面を凹凸を滑らかにしたり、中塗り・上塗りの密着力を高める役割があります。
劣化した外壁はスポンジのように塗料を吸い込むため、下塗りを行って中塗り・上塗り塗料が吸い込まれないようにする必要があります。
しかし、下塗りが不十分だと中塗り・上塗り塗料が吸い込まれてしまい、塗りムラや機能の低下を引き起こします。
さらに、下塗りは接着剤のような働きもしているため、下塗りがきちんと行われていないと、中塗り・上塗り塗料がしっかりと密着せずに、浮きや剥がれが発生してしまいます。
塗料の乾燥時間を守らなった
塗料には、製品ごとに各メーカーが定めた乾燥時間が設けられています。
乾燥時間を守らずに塗装を進めてしまうと、塗料に含まれる水分が塗膜内部に残った状態となり、この水分が原因で浮きや剥がれが起きてしまいます。
塗装の乾燥時間は天候や季節によっても変わってくるため、その時の状況に合わせて時間を調整することが重要です。特に、冬場や梅雨時期は乾燥に時間がかかるので注意しなければなりません。
塗料の取り扱いに不備があった
塗料を使用する際は、水や専用のシンナーなどで薄める必要があります。その際に希釈率を誤ったり、しっかりと撹拌できていないと、塗膜に浮きや剥がれなどの不具合が生じてしまいます。
また、塗料によって適用下地は異なり、下地に適していない塗料を使用してしまった場合も、同じく浮きや剥がれなどに繋がります。
塗料の性能やカラーだけでなく、下地との相性も考慮して塗料の選定を行うことが大切です。
浮き・剥がれを放置すると起こりうるトラブル
外壁材の劣化進行
塗料には、紫外線や雨風から外壁材を保護する役割があります。
浮きや剥がれが起きていると、その保護機能が正しく発揮されずに外壁材が紫外線など影響を受けてしまい、建材や下地の劣化スピードを早めてしまう事態に繋がります。
雨漏りの発生
塗膜が剥がれた部分から雨水が染み込んだり、外壁材や下地の劣化箇所から雨水が内部に浸入し、雨漏りに発展する可能性もあります。
雨漏りは家財や室内を濡らしてしまうだけでなく、シロアリやカビの発生、建材の腐食、耐震性の低下など様々なトラブルを引き起こしてしまいます。
雨漏りは建物全体に多大なダメージを与えるため、状況が悪化する前に適切なメンテナンスを行うことが重要です。
美観の低下
塗膜の浮きや剥がれを放っておくと、美観も大きく損なわれていきます。
建物の資産価値が低下する原因にもなるため、将来的に売却や賃貸としての活用を検討している場合は注意が必要です。
浮き・剥がれの補修方法と費用
外壁塗装の浮き・剥がれの補修方法は、施工範囲によって異なります。
症状が部分的で下地の状態にも問題がない場合は、部分的な塗装で対応可能です。ただし、浮き・剥がれが広範囲にわたって発生している場合は、外壁全体の塗り替えが必要となります。
塗装をする際は、古くなった塗膜や汚れなどをしっかりと除去してから、下塗り・中塗り・上塗り塗装と作業を進めていきます。高圧洗浄や下地処理が不十分だと、再度浮きや剥がれが起きてしまうので要注意です。
浮き・剥がれの補修にかかる費用は、施工範囲や使用する塗料などによっても変動しますが、部分的な補修であれば数万円で済むケースもあります。
外壁全体の塗装を行う場合は、一般的な戸建て住宅で60万円~100万円程が相場です。
ただし、施工不良が原因の場合は、業者の保証を利用して補修できる可能性もあるため、まずは施工した業者に確認するようにしましょう。
まとめ
外壁塗装の浮き・剥がれは、経年劣化や施工不良などが原因で発生します。浮きや剥がれを放置すると建材の腐食や雨漏りの発生、建物の資産価値の低下といった様々なトラブルに発展するため注意が必要です。
外壁塗装に浮きや剥がれを見つけた際は、まずは専門業者に調査を依頼し、適切な方法でメンテナンスを行うことが大切です。
早期発見・早期修理は、建物の耐久性や美観を維持するだけでなく、メンテナンス費用を抑えることにも繋がります。
また、もし塗装してから数年で浮きや剥がれが発生した場合は、施工不良の可能性も考えられるため、契約した業者の保証内容を確認してみるようにしましょう。