塗膜の膨れについては、様々な原因があります。
水分がまわってしまい膨れるもの、塗料やシーリング材の可塑剤の影響を受けて膨れるものなど、他にも様々な影響を受けて膨れるものが多いにあります。
今回は、その中でもよく塗料メーカー様や塗装店様から質問の多い「弾性アクリルラッカー」の膨れについてお話します。
弾性アクリルラッカーで熱発泡による膨れが起こる原因や補修方法は、次の通りです。
・弾性アクリルラッカーの上から別の塗料で塞ぐと、熱発泡による膨れが起きる
・特に日当たりのいい場所、南面や西日の差し込む西面は注意が必要
・熱発泡が起こるのは、塗料に熱可塑性が高い熱可塑性樹脂が使われていることが原因
・熱発泡の根本的な解決は、塗膜を撤去すること
塗膜の熱発泡による膨れについてご説明いたしますので、参考になれば幸いです。
熱発泡とは
紹介するのは、ある住宅メーカーのある年代によく使われている塗料で、塗料の位置づけとしては弾性アクリルラッカーと呼ばれるものです。
この塗料の怖い点は、塗料を塗るだけでは塗膜の膨れは起きず、その上から別の塗料で塞いでしまうと塗膜の膨れが起きる、いわいる熱発泡が起きてしまうことです。
下の写真は実際にある塗料の上に塗ってしまい、塗膜の膨れが起きている状態です。熱発泡が起きていると、右の写真のような蜂の巣状になります。
このような現象がすべてに起きることは少なく、特に日当たりの激しい所、南面や西日の差し込む西面に多く発生しています。
熱発泡が起こる理由
熱発泡が起こるメカニズムには、熱可塑性樹脂と呼ばれるものが大きな影響を与えています。
熱可塑性樹脂とは、簡単にいうとチョコレートのようなもので、熱を加えると溶け出し、冷ますと固まる性質を持った樹脂の種類です。
どんな塗料にも入ってるものですが、熱可塑性が非常に高いものが使われていると熱発泡につながります。
余談ですが、熱硬化性樹脂と呼ばれる樹脂もあり、その性質は熱可塑性樹脂とは異なり、簡単にいうと卵のように熱を加えると固まる性質を持った樹脂の種類になります。
熱発泡による塗膜の膨れを補修する方法
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薬品を使い塗膜撤去の作業中です。
現時点での根本的な解決は、塗膜の撤去がいいとされています。
まとめ
熱発泡による膨れが起こる原因は、塗料に含まれる熱可塑性樹脂です。どのような塗料にも含まれていますが、熱可塑性が高いものが使われていると熱発泡が発生しやすくなります。
住宅メーカーでよく用いられるている弾性アクリルラッカーの場合は、別の塗料を上から重ねてしまうと熱発泡による膨れが起きてしまうため、塗り替えの際は注意が必要です。
熱発泡を解決するには、塗膜を撤去することが望ましいです。今回ご紹介した同じような現象がみられる場合は、ぜひ弊社までご相談ください。