建物は、紫外線や雨風など様々な影響を受け、時間の経過とともに劣化していきますので、建物の耐震性や防水性を維持していくためには、定期的にメンテナンスが欠かせません。
ただ、外壁・屋根塗装を検討している方の中には、具体的にどのような工程で作業をするのか、作業期間はどのくらいなのか不安に感じている方も少なくありません。
そのためこのページでは、外壁塗装の工程や作業内容などについて詳しくご説明しますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
目 次
外壁塗装の流れと工程ごとの作業内容
一般的な35坪の戸建て住宅での外壁塗装工事にかかる日数は、およそ7~14日間です。
ただし、これはあくまでも、天候にも恵まれ好条件で工事がスムーズに進んだ場合で、天候などの状況によっては、想定よりも作業が遅れてしまう場合もあります。
詳しい工事の流れや作業内容は以下の通りです。
足場・飛散防止ネットの設置(期間:半日~1日)
作業初日は、安全に効率よく作業を行うために、建物の周りをぐるりと囲むように仮設足場を設置します。
足場の設置が完了したら、高圧洗浄の水や塗料の飛散を防ぐために、足場の外側から飛散防止ネットを設置します。建物の規模にもよりますが、作業は半日〜1日程度かかります。
また、初日は資材の搬入で工事車両が何度も出入りしたり、足場組み立てのためにハンマーで足場を叩く音など、作業中は大きな音が響いてしまいます。
そのため、近隣トラブルを避けるためにも、事前に隣人の方へ挨拶をして工事があることを伝えておくことが重要となります。
高圧洗浄(期間:1~3日)
足場と飛散防止ネットの設置が完了したら、高圧洗浄を行います。外壁表面には、長年蓄積された汚れやホコリだけではなく、カビやコケが繁殖していることもあります。
汚れやカビ、コケ、劣化した古い塗膜を残したまま塗装をしてしまうと仕上がりにも影響してしまうため、高圧洗浄でしっかりと汚れを除去します。
高圧洗浄の作業期間は、一般的に半日から1日程度ですが、洗浄後は最低でも24時間しっかりと乾燥させる必要があります。
天候や立地によって、乾燥には2〜3日ほどの日数が必要になる場合もあります。
また、高圧洗浄がかけられない部分には、ブラシなどを使って手作業で汚れを落としていくので、手作業の部分が多い場合には、その分作業期間が長くなります。
下地処理(期間:1日~)
建物全体がしっかりと乾燥したら、下地処理を行います。
下地処理では、古い塗膜の除去や外壁のひび割れや欠けた箇所の補修、金属部分のサビの除去や表面を削る「ケレン」作業、「サビ止め」塗布、目地部分のシーリング補修などを行います。
下地処理は、下地調整や素地調整と呼ばれ、塗装工事の中でも非常に重要な工程です。作業が不十分だと施工不良に繋がる恐れもあるので、丁寧に作業を行わなければなりません。
下地処理の期間は、特に大きな問題が無ければ1日、劣化が激しい場合には数日かかる場合もあります。
養生(期間:1日~)
あまり聞きなれない言葉ですが養生とは、窓、床、車、植物など塗料が付いてはいけない箇所全てをビニールやテープを使って覆い保護する作業のことです。
また、養生には塗料が付かないよう保護するだけではなく、隅々まで綺麗に塗装するためにも重要な役割を果たします。
作業期間は一般的に半日〜1日程度かかり、必要に応じて近隣の車やバイクにも専用のカバーをかけさせていただく場合もあります。
下塗り(期間:1日~)
下準備が完了したら、いよいよ塗装作業に入ります。
下塗りは、色を付けるという目的ではなく、塗装面を整えて中塗りや上塗りの塗料がしっかりと密着するための接着剤のような役割を果たしています。
外壁の材質に合わせて「シーラー」「プライマー」「フィラー」「バインダー」などの下塗り材を使い分けて作業を行います。
下塗りの作業期間は、塗装と乾燥を含めて1日程度かかります。
中塗り(期間:1日~)
下塗りが十分に乾燥したら、次は中塗りです。中塗りでは、基本的に上塗りと同じ塗装を使用するため、上塗り1回目と表現されることもあります。
塗料は、塗料メーカーの指定する塗料の厚みを確保していなければ、期待する機能を十分に発揮することはできません。
ただ、適切な厚みを出そうと1度に多くの塗料を塗装面に塗布してしまうと、乾燥が不十分になったり、塗りムラが出来てしまうため、中塗りと上塗りの2工程に分けて作業を行う必要があります。
業者の中には、乾燥時間を設けずに中塗りと上塗りを同時に行い、乾燥の手間を省くような悪質な業者も存在しますので注意が必要です。
乾燥が不十分だと、塗装後に不具合が起こってしまう可能性もありますので、中塗りと上塗りの間でしっかりと乾燥時間を設けているか確認をしましょう。
上塗り(期間:1日~)
中塗りが完全に乾いたら、上塗りを行います。塗装工事の仕上げの工程で、中塗りと同じ塗料をもう一度塗り重ねます。
上塗りを行うことで、塗料が適切な厚みになって塗料本来の耐久性が発揮されて、仕上がりも綺麗になります。
その後、塗料をしっかりと乾燥させますが、完全に塗料が乾いてから養生を剥がすと固定しているテープと一緒に塗膜が剥がれてしまう可能性があるので、養生は完全に乾ききる前に剥がします。
木部・鉄部など付帯部の塗装
付帯部とは、破風板や軒天、雨樋、換気フードなどの外壁や屋根以外の部分のことで、面積の広い外壁部分の塗装が完了したら、付帯部を塗り替えます。
付帯部の塗装は、どのタイミングで作業をするかという明確な決まりはありませんが、一度混ぜてしまった塗料は時間が経つと固まってしまうため、適切なタイミングで行う必要があります。
最終チェック、手直し(1日~)
建物全体の塗装が完了した時点で、まずは職人が塗り残しがないか、不要な部分に塗料が付いていないかなど丁寧に確認をし、手直しします。
全体の確認が完了したら、次はお客様と一緒に足場に登って完了検査を行い建物全体の最終チェックを行います。
完了検査終了後は、足場を撤去するため、万が一、立会いを行わずに引き渡し後に気になる箇所を業者に指摘したとしても、対応までに時間がかかってしまったり、対応が難しい場合もあります。
そのため、完了検査は可能な限りお立会いいただき、細かい部分までじっくりとチェックを行いましょう。
点検が完了したら、全ての養生を取り外します。この最終チェックや手直し、養生の片付けを含めて最低でも1日程度は必要となります。
足場の解体・完工(引き渡し)
検査が完了したら、建物を囲んでいた飛散防止ネットや足場を解体や撤去、産業廃棄物の片付け、清掃を行います。
組み立てと同様に作業中は足場の解体や資材の搬出などによって大きな音が響いてしまいます。そのため、音が気になりそうな場合、事前に時間帯やどの程度の音なのか確認しておくと安心です。
半日〜1日程度かけて解体や清掃を行い、全ての作業が完了したら引き渡しとなります。
予定より工期が早まる場合、遅れる場合の要因
工期が早まる場合
通常、丁寧に作業を行っていれば予定通りの日程で作業が進んで行くため、極端に工期が早まるということはありません。
ただ、悪天候によって遅れることも見越して工期を設定しているため、想定よりも好天が続くことで工期が若干早まる場合があります。
また、戸建の塗装工事では、2〜3人程度で行うのが一般的ですが、想定の人数よりも作業員の数が確保できた場合には、工期が早まる場合があります。
万が一、極端に工期が早まった場合には、乾燥時間を十分とらずに次の作業を行う、中塗りをしていないなどの手抜き工事の可能性もあるので注意が必要です。
工期が遅れる場合
塗装工事は、雨が降ってしまうと作業を中断せざる負えません。そのため、台風などで悪天候が続いた場合は、乾燥に時間が時間がかかったり、作業ができず工期が遅れてしまう場合があります。
また、雨が降っていなくても風の強い日は、塗装にチリやホコリが付着してしまったり、塗料飛散のリスクが高まるため、工事を中断することもあります。
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