塗料は主成分である合成樹脂の種類によってグレードが分かれています。
ウレタン塗料は、塗料のグレードでは下から2番目に位置する塗料で、一昔前までは外壁塗装でも主流となっていましたが、現在ではほとんど使用されることはありません。
ただ、ウレタン塗料は密着性が高く幅広い素材に対応できるため、現在でも付帯部などでは使用される場合があります。
このページでは、ウレタン塗料の特徴や費用などについて詳しく説明いたします。
目 次
ウレタン塗料はどんな塗料なのか?
ウレタン塗料とは、ウレタン樹脂を主成分とした塗料のことで、「ポリウレタン樹脂塗料」と「アクリルウレタン樹脂塗料の2種類があります。
ポリウレタン樹脂塗料 | 主剤にポリオール、硬化剤にポリイソシアネートを組み合わせた塗料です。ポリオールとポリイソシアネートの組み合わせ次第で、さまざまな特性を持たせることが可能です。 |
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アクリルウレタン樹脂塗料 | 主剤にアクリルポリオール、硬化剤に無黄変性で色あせにくい脂肪族系のポリイソシアネートを組み合わせた塗料です。 |
現在ウレタン塗料の中では、耐候性や塗膜性能がより優れているアクリルウレタン樹脂塗料が主流となっています。
ウレタン塗装とウレタン防水は別物
防水工事の中には、ウレタン防水と呼ばれるものがありますが、これは外壁塗装で使われるウレタン塗料とは別物なので注意しましょう。
ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を硬化させて防水層を形成し、建物に水分が浸入するのを防ぐことを目的とした防水工事です。
ウレタン塗料のメリット
施工費用がやすい
ウレタン塗料は、価格が安いというのが最大のメリットです。現在主流のシリコン塗料と比べても、約1〜2割ほど施工費用を抑えることができます。
伸縮性がありひび割れや変形に強い
ウレタン塗料は、柔らかく伸縮性に優れた塗料です。そのため、ひび割れが起こりやすいモルタル外壁などでも動きに追従して、ひび割れが表面化するのを防ぐことができます。
ただ、現在では他のグレードでも弾性タイプの塗料があるので、これはウレタン塗料に限った特徴ではありません。
密着性が高い
ウレタン塗料は、下地との密着性が高いので鉄部や木部など幅広い素材に使用することができます。また、塗膜が下地にしっかりと密着することによって、塗装の剥がれが起りにくいという特徴もあります。
ウレタン塗料のデメリット
耐用年数が短い
現在主流のシリコン塗料の耐用年数が10年〜15年程度なのに対して、ウレタン塗料の耐用年数は8〜10年程度と耐久性が低いというデメリットがあります。
アクリル塗料を除く他のグレードの塗料に比べると、短期間で塗り替えは必要になるため、長期的にみるとコストパフォーマンスはあまり高くありません。
紫外線に弱く変色しやすい
ウレタン塗料は、シリコンやフッ素塗料などと比べると変退色が起りやすいと言われています。また、変色すると塗膜が黄色味を帯びる傾向があります。
防汚性が低く、汚れやすい
ウレタン塗料の優れた柔軟性や伸縮性は、塗膜のひび割れ防止には役立ちますが、その性質によって汚れが付着しやすいというデメリットもあります。
特に艶消しタイプの塗料では汚れが目立ちやすいので注意が必要です。ただ近年では、汚れが付きにくい低汚染タイプのウレタン塗料も増えています。
ウレタン塗料の施工単価(m2)はいくらくらいか?
ウレタン塗料の施工単価は、1平米あたり1,700〜2,200円程度です。その他のグレードの塗料との施工単価の相場と耐用年数の違いは以下の通りです。
塗料の種類
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施工単価(/㎡)
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耐用年数
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アクリル塗料
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1,400~1,600円
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5~7年
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ウレタン塗料
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1,700~2,200円
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8~10年
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シリコン塗料
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2,300~3,000円
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10~15年
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ラジカル制御型塗料
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2,500~3,000円
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12~15年
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フッ素塗料
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3,800~4,800円
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15~20年
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無機塗料
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4,500~5,500円
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20~25年
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こんな方にオススメする塗料です
現在は、シリコン塗料以上のグレードの塗料の方が耐久性が高く、コストパフォーマンスが優れているため、外壁塗装でウレタン塗料を使用することはほとんどなくなりました。
ただ、お店の外壁など頻繁にイメージチェンジをしたい場合や10年以内に建て替えや解体が決まっている場合には価格の安いウレタン塗料が適していると言えます。
代表的なウレタン塗料
セラMレタン【関西ペイント】
外壁用のセラミック変質樹脂が配合され、耐薬品性や耐久性に優れた塗料です。また、セラミック変性によって汚れが定着しにくく、防カビ性・防藻性にも優れた効果を発揮します。
ビニロックウレタン【ロックペイント】
水性一液架橋型ウレタン樹脂塗料で、水性塗料ではあるものの溶剤型アクリルウレタン塗料に匹敵する高い耐候性が特徴です。
水性塗料なので、溶剤系塗料に比べ臭いが少なく、環境への配慮にも適応しています。また、防カビ性・防藻性も有しています。
ニッペ ファインウレタンU100【日本ペイント】
ターペン可溶2液系ポリウレタン樹脂塗料です。防藻や防カビ効果が高く、建物の美観と清潔な環境を保つことができます。
また専用の硬化剤を使用することで、防錆性を持たせることができるので、鉄部の塗装に最適な塗料です。
クリーンマイルドウレタン【エスケー化研】
超低汚染・高耐久NAD型特殊ポリウレタン樹脂塗料で、独自のセラミック技術によって低汚染性や耐久性に優れた塗膜を形成することができます。
また、塗膜が持つ親水性によって塗膜に付着した汚れは雨水によって洗い流されます。
エコウレタン(スズカファイン)
水性1液反応硬化形弾性ポリウレタン樹脂系塗料で、耐水性や耐アルカリ性、耐紫外線性、光沢保持性に優れた塗膜です。
また、塗膜表面は親水性があり塗膜に付着した汚れは雨水によって洗い流されます。
ウレタン塗料に関するよくある質問
1.ウレタン塗料は、水分と相性が悪く湿度が高いときに塗布すると塗膜性能が落ちると聞いたのですが、本当でしょうか?
ウレタン塗料に限らず、ほとんどの塗料は水分との相性は良くありません。基本的に、湿度85%以上の場合は、空気中に含まれる水分で塗料の乾きが悪くなってしまうため施工はできません。
湿度85%以上で施工してしまうと、色ムラや塗膜の膨れの原因となる恐れがあります。
2.ウレタン塗料は、配合成分に強い毒性があると聞いたのですが、本当でしょうか?
確かにウレタン塗料の硬化剤には毒性の強いイソシアネートが含まれています。粘膜や皮膚に触れるとかぶれを起こしたり、噴霧状態で吸入すると中毒症状を起こすことがあります。
ただ、これはウレタン塗料に限ったことではなく、溶剤系の塗料であればどの塗料でも毒性はあります。また、現在外壁塗装では、人体への影響が少ない弱溶剤や水性の塗料が一般的です。
3.ウレタン塗料専用のシンナーを使用しなければいけないと聞いたのですが、本当でしょうか?
これもウレタン塗料に限ったことではありません。商品によっては、メーカーが専用のシンナーを指定する場合があります。
まとめ
今回はウレタン塗料について、お話させていただきました。
現在、ウレタン塗料よりも耐久性の高いグレードの塗料の価格も下がっているので、そのため、頻繁に塗り替えたいなど特別な目的がない限りは、外壁塗装で使うことはなくなりました。
ただ、業者の中には、見積金額を安く抑えるためだけにウレタン塗料での外壁塗装を提案するような悪質な業者も存在します。
見積書を確認する際には、どの塗料が使われているかしっかりと確認するようにしましょう。